近年の日本全国の美容業界(美容所)では、新型コロナウイルス禍を契機とした市場変動の中で、開業数と閉業数が拮抗しています。特に都市部における競争激化と地方における顧客減少が顕著になっており、経営者は市場動向を注視しています。また、新規施術メニューの導入(例:ハーブピーリング)によって売上向上やリピート率の改善を図る事例も増えています。本記事では、2019年~2025年にかけての美容サロン開業動向と閉業率、地域別の市場余力(人口一施設比)を整理し、さらにハーブピーリング導入による売上変化とその事例(個人サロン・中規模店舗・チェーン店)を解説。最後に導入効果としてリピート率向上や単価アップなど経営改善のポイントを具体的にまとめます。
全国の美容業界開業・閉業動向(2019年~2025年)
近年、日本の美容サロン開業数は横ばいから微増傾向にあるものの、閉業率も相応に高く、市場拡大には依然として厳しい環境が続いています。2019年以前は美容所の登録件数が緩やかに増加していましたが、2020年の新型コロナウイルス流行で営業自粛や休業に追い込まれるサロンが増加し、一時的に閉業数が急増しました。その後、感染拡大が落ち着いた2021~2022年には補助金やテイクアウト・オンライン集客の活用もあり営業を再開する店が増えましたが、2023年以降も業界全体の閉業率(年間事業者数に対する休廃業・解散事業者数の割合)は高い水準で推移しています。これらの数字から、新規開業数と閉業数は現状ほぼ拮抗しており、市場は飽和あるいは微増レベルに留まっていると考えられます。
- 開業動向: コロナ前はサロン開業が増加していましたが、パンデミック期に一服。専門学校卒業者の就職先や独立開業希望者の数は安定しており、新メニューへの対応や独自顧客開拓によって差別化するサロンが増えています。
- 閉業率: 小規模サロンの廃業も多く、特に個人経営店では平均5~10年で廃業するケースも散見されます。経営者高齢化や後継者不足、低価格競争などが主因です。
地域別動向(都市部 vs 地方)・一施設当たり人口数に見る市場余力
地域ごとに市場状況は大きく異なり、都市部と地方で市場余力(人口一美容所あたり人数)にも差があります。東京・大阪など主要都市部では、1施設あたりの人口は全国平均よりも人口密度が高い一方、地方では顧客となり得る人口が少なくなっています。都市部では高い需要を背景にサロン競争が激しく、新規出店/閉店の入れ替わりも頻繁です。そのため立地の良否やUSP(独自の売り)により顧客を確保する必要があります。
一方、地方都市や過疎地域では都市部よりサロン数が少なく、市場余力にはまだ余裕があるケースがあります。しかし少子高齢化・人口減少が進む地方では顧客層が限定的になり、既存顧客の取り合いが主となる面もあります。地方で成功しているサロンは地元密着のリピーター対策や、観光客・地域イベントと連携した販促を積極的に行っています。また、地方移住者やワーケーション需要の取り込みも新たな市場開拓の糸口です。地域別には下記ポイントが挙げられます。
- 都市部(東京・大阪など): 顧客単価や回転率が高い反面、サロン間競争が激しく、閉店リスクも高め。立地やブランド力、SNS集客力が成功要因。
- 地方・郊外: 競合数は少なめで一施設当たり人口は多い傾向もあるが、顧客数自体は限られる。幅広い年代をターゲットにしたり、移動サービス(訪問美容)を組み合わせた店舗展開などで地域ニーズに対応。
- 市場余力評価: 一施設あたり人口指標は都市部で低く(過密)、地方で高い(余力あり)傾向。例えば地域人口20万人に美容所200店なら1,000人/店。都市部では500人/店程度、地方では2,000人/店程度の場合もあり、後者には潜在的な需要が残ります。
ハーブピーリング導入による売上変化(導入事例別)
美容サロンにおけるハーブピーリングは、植物由来の天然成分を用いた肌再生トリートメントで、近年注目を集めています。従来のピーリング施術と比較して刺激が穏やかでダウンタイムが少なく、ニキビ・くすみ改善や肌質改善に効果が期待されるため、特に若年層~30代の女性顧客に人気があります。導入することで以下のような売上効果が報告されています(事例はあくまで一般的な傾向です)。

- 個人経営サロン: 施術時間は従来のフルフェイシャルより短めで済むことから、同一時間内にこなせる顧客数が増加。新メニューとして追加することでリピーターからの予約数が底上げされ、売上10~20%増という報告もあります。またトライアルやセット割引によって新規来店を促進し、リピーター化に繋げています。
- 中規模店舗: 従来メニューとの組み合わせやコース設定により客単価が上昇。例えば「ハーブピーリング+美容液導入」のセットメニューを設定し、1人当たりの客単価が約1.2~1.5倍に伸びるケースがあります。また、口コミで話題性が生まれ、新規顧客数の増加に寄与した例も多いです。既存顧客への体験キャンペーンで追加オプション的に案内することで、未導入店より単価アップ率が高くなる傾向があります。
- チェーン店: スタッフ教育や機材投資を集中して実施できる利点があり、全店横展開することで売上全体の底上げにつながります。導入初期は教育コストが必要ですが、一度メニュー化すると集客力強化やブランドイメージ向上に貢献します。大手チェーンでは各店で平均5~10%の売上増加を報告しています。さらに、複数回の施術で効果を実感しやすい点から、顧客が定期来店する頻度が上がり、長期的なリピート促進にもつながります。
これらの事例から、ハーブピーリング導入は店舗規模を問わず売上高と顧客数の増加に寄与していることがわかります。一方で、導入後の効果を最大化するには、適切な価格設定やメニュー構成、プロモーション(公式SNS・チラシ・クーポン活用)など、運用面での工夫も重要です。
導入による経営改善ポイント:リピート率向上と単価アップ
ハーブピーリング導入後の経営改善には、リピート率向上と客単価アップの両面がカギとなります。具体的には以下のようなポイントが挙げられます。
- リピート率向上: ハーブピーリングは複数回の継続施術で効果を実感しやすいため、コース契約や会員制度との相性が良いメニューです。導入時に「3回コース」「6回パス」など回数券を用意し、割引価格で購入できる仕組みを導入すると、継続率が向上します。さらに、施術後のホームケア(専用美容液の推奨)やLINE公式アカウントによる定期フォローで顧客との接点を増やすことで、再来店率を高めます。
- 客単価アップ: ハーブピーリング自体の価格を設定するだけでなく、「ピーリング+フェイシャルエステ」や「ピーリング+ヘッドマッサージ」といったセットメニューを提案することで、一回の来店あたりの売上を上げられます。特に、初回来店時に割引価格でピーリングを提供し、次回以降はフルプライスでリピートしてもらうよう促すクロスセル戦略が効果的です。
- メニュー差別化: 脱毛や痩身など他の美容メニューが一般化する中、ハーブピーリングは「肌質改善」の新たな売りとして差別化要素になります。サロンの強みとして訴求することで、新規顧客獲得チャネルが増え、既存顧客にも新鮮な体験を提供できます。これにより顧客満足度が向上し、長期的な経営安定に繋がります。
まとめ(結論)
美容業界では2025年に向けて、開業と閉業のバランスが依然としてタイトな状況が続くと予想されます。都市部では高い競争の中でサービスの高度化が求められ、地方では人口減少による需要縮小への対応が必要です。このような中、ハーブピーリングのような新規施術メニュー導入は、競合店との差別化および顧客満足度向上に大きく貢献します。導入事例からは、個人店・中規模・チェーンいずれでも売上増加とリピート率の向上が確認されており、リピート客育成施策や複合メニュー提案などの経営改善策と組み合わせることでさらなる効果が期待できます。美容サロン経営者は市場動向や地域特性を見極めながら、新技術や新サービスを積極的に導入し、リピーターづくりと収益強化を図ることが今後の成功の鍵となるでしょう。
美容サロンの開業をご検討されている方はぜひお気軽にご相談ください。
<参考>衛生行政報告例(厚生労働省)に基づく理美容サロン数・開業・廃業動向ribiyo-news.jpribiyo-news.jpsalonma.jpsalonma.jp美容業界関連報道・分析記事(理美容ニュース、Beautopiaほか)ribiyo-news.jpribiyo-news.jp